適切な通塾回数
上智スクール(柴又) 塾長 渡辺勇治
いろいろな個別指導塾が、いろいろな宣伝文句を考え出しています。
その中で、週1回の通塾で、自習室が使い放題! というところがあります。
これは、一見、魅力的かもしれません。
保護者の方にとっては、お子様には、できるだけ低費用で、できるだけ、たくさん勉強してもらいたい、というのが本音だと思います。
何も言わなくても、自分からバリバリ勉強してくれれば、塾になど行かなくてすむのですが、なかなかそういうふうにはなりません…。
週1回だけの授業料なら、集団塾と比べても費用が抑えられるし、家では、勉強しないから、塾の自習室で、“毎日”勉強させてもらえるなら、」なんだか良さそうな感じがします。
集団塾と、個別塾で、大きな違いは、やはり、1時間当たりの授業料です。
1時間当たりの授業料では、どうしたって、個別塾のほうが高くなってしまうのはしかたがありません。
しかし、個別指導で、できるだけ費用が安いところ、と考えてはもっとだめです。
費用を安くするためには、安い講師しか使えません。個別指導、といっても、教える能力も実力もないアルバイトの講師がついても、学習効果は望めないし、場合によっては害悪になることだってあります。
それでは本末転倒です。
私たちの塾にも、ときどき、週1回の授業で、英語も数学も、できれば他の科目も教えてもらえないか、という相談を受けることがあります。しかし、個別指導で、週1回で効果が上がる生徒というのは、もともと自分で勉強ができる、できる生徒に限ります。そういうケースは限られています。
これが本当のところです。
集団塾では、だいたい週3回の通塾が普通です。
3科目であれば、最低、これくらいは必要になるからです。勉強ができるようになるためには、やはり、ある程度の勉強時間が必要だからです。
ところで、個別指導塾に週1回通塾するだけで、集団塾よりも効果がある、というのを期待していいでしょぅか。
「だいじょうぶです。他の日は自習室で勉強できますから。」と言われて鵜呑みにしていい でしょうか。
ここで注意が必要です。
保護者の方は、子どもが自習室でバリバリ勉強してくれることをイメージするでしょうが、実際にそれができる生徒はほとんどいないのです。
(それができる子は、家でもできます。)
ですから、自習室が使えるといっても、実際は、ほったらかしになります。
「わからないときには、質問もできます。」
ということになっていても、実際には教える先生はついていません。
そもそも、家で勉強できない子は、図書館の自習室でも、塾の自習室でも勉強できません。
塾にとっても、週1回の授業料だけで、あとは自習室だけでは、経営になりませんから、結局、やはり、「もっとたくさん授業を受けたほう がいいですよ。」
と言われることになります。
週3回通塾している生徒と、週1回の通塾で、あとは自習、という生徒では、かかる費用は3倍違ってしまいます。
そういう個別指導塾は、それが最初からの作戦です。
もしも、週1回の授業だけで十分なのであれば、集団塾だって授業は週1回、あとの日は自習で大丈夫です、と言えるはずです。
集団塾では、ある程度の授業時間が必要なのをよく知っています。
勉強に限らず、どんなことでも同じです。吹奏楽のような部活でも、できるようになるには、毎日の訓練が必要です。コーチも必要です。
個別指導でも、集団塾より効果の高い指導を望む場合は、かなりできる生徒でも週2回は必要です。集団塾と同じ時間l量とまでは言 いませんが、せめてその三分の二くらいは必要だと思います。
個別指導塾の場合、多人数の集団塾よりは、どうしても費用面では高めになってしまうのは否めません。
要は、生徒にとって、どちらが効果的かという一点だと思います。
そもそも、費用が安くても、学習効果がなければ意味がないですし、多少費用がかかっても効果が高ければ、むしろ安いということになります。
集団塾か、個別塾かを選ぶさいは、もし個別塾を選ぶとすれば、やはり教師がしっかりしている、指導体制の確かな塾を選んでもらいたいと思います。