個別指導塾の講師は?
個別指導塾の経営というのは、生徒から一時間あたり、いくらという授業料をもらい、その一部を担当する講師に、アルバイト料として支払う、というかたちです。
塾によって、アルバイト講師への時給は違います。
総じて、個人指導のアルバイト料は低く設定されています。
個別指導塾の営業経費は、大きくわけて、次の三点です。
@設備費
A宣伝広告費
B人件費
@の設備費は、抑えようがありません。
塾業界では、大手でも自前の教室を所有しているところはなく、ほとんどが雑居ビルなどのテナントとして家賃を払っています。テナントの家賃は、駅前などの立地条件がよければよいほど、また、ビルが新しく、きれいで、広く、外観が良い ほど高くつきます。
塾を維持するためには、生徒を集めなければなりませんかから、Aの宣伝広告費もけっこうな額になります。新聞の折込チラシや、ダイレクトメールなどです。最近は、インターネットの広告会社のスポンサードサイトというのもあります。
もちろん、カラー印刷で、豪華で大判の新聞チラシを、毎月のように入れたりすると、かなりの広告費になります。生徒をたくさん集めなければなりませんから、
塾の規模が大きければ大きいほど、宣伝費もたくさんかかります。
そこで、削られるのが、Bの人件費、ということになります。
これをできるだけ抑えないと、塾はもうからない仕組みになっています。
立派な建物や、豪華なチラシは、はっきりと目にわかりますが、講師の質というのは、その違いが目に見えません。だから、一番削りやすいところなのです。
大手塾の中には、集団指導と、個別指導、両方やっている塾もありますが、
だいたい、集団指導は、比較的上手な講師が担当し、時給も比較的高いのですが、個別指導のほうは、ほとんど教えた経験のない、時給の安い、新米アルバイトが担当しています。
とくに大手塾では、個別指導は、新米アルバイトばかりです。
先生を選べる、というのも、個別指導塾のセールスポイントにしていています。選べると言っても、こういう新米アルバイトから選ばせることになります。
個別指導というのは、一人の講師が、2〜3人の生徒を個別に教える、という方式をとります。生徒は、学年も、科目も、違う、というのが一般的です。
一人の生徒に、英語を教え、もう一人の生徒に国語を教える、という感じです。
保護者の方の要望が、国語、であれば、誰かが国語を担当することになります。
ただ、学生の中には、英語や、国語は教えられるけれど、数学はまったくダメという学生もいれば、理系の学生で、数学は得意だけど、中学、高校時代、国語は大の苦手だった、という学生もいます。
個別指導の場合、生徒のほうにも、曜日や、時間の要望があるし、アルバイトの学生も、何曜日と何曜日はアルバイトできるけれど、学校でサークル活動もやっているので、それ以外の曜日は来れないとか…、
それをマッチングさせるのはとても難しく、骨の折れることです。
場合によって、理系の学生が、数学を教えたいのに、苦手な国語を担当させられた、とか、数学が全然ダメな文系の学生が数学を教える、などというヘンテコなことが珍しくありません。
ある個別指導塾の理系のアルバイト学生が、
「国語はどうにもならないくらい苦手なので、他の生徒に代えてもらえないでしょうか。」 と教室長に言ったところ、
教室長から、「だいじょうぶ、ただ答え合わせをして、〇だけつければいいから。」 なんて言われたという話など、日常茶飯事です。
生徒や、保護者の方には、先生の、“中身”はわからないので、こんなことがおこってしまいます。
上智スクール柴又教室 塾長 渡辺勇治