塾の人気ランキング
春の新学期や、夏期講習に近い時期になると、新聞チラシの中に、塾の広告も目立つようになります。
いろいろな塾が、〝魅力的な〟宣伝文句を並べています。どこの塾も、すばらしい。 この塾に入れば、成績アップ間違いなし。受験も安心。といった感じです。同業者から見ると、ここの塾は真面目な塾、あっちは金儲け主義の塾というのがわかりますが、塾関係者以外は、たぶんわからないだろうと思います。
どんな業種にも、表と裏があります。ネットで、塾を検索してみても、いろいろな塾の名が目に飛び込んできます。塾をやっていると、広告会社からの勧誘も多く来ます。最近は、ネットの中に、「塾の比較」とか、「塾の人気度ランク」とか、があります。
こういうのは、たいていが広告会社が作っているサイトです。
資料請求して、このサイトから入塾したら、2,000円の入塾お祝い金が出ます…とか。
そういう広告会社は、あちこちの塾にサイト掲載を勧誘してます。
実は、こういうからくりになっています。
保護者の方は、ずらりと並んだ塾の中から、氏名、住所、その他を入れ、クリックするだけで同時にいくつもの塾に資料を請求することができて、とても便利です。
どうせ一括請求するなら、いろいろなところからもらいたいので、たいていは、４～５軒くらい資料請求のクリックをします。
広告会社は、保護者の方から資料請求のクリックが入ったそれぞれの塾から、報酬をもらえる、という仕組みです。広告会社によって違いますが、だいたい一件の資料請求につき、4,000円くらいだそうです。
保護者の方が、気軽に一回、５軒の塾をクリックすると、、広告会社はそれだけで５軒の塾から合わせて、4,000円×５＝20,000円 ! もらえる、という仕組みです。こういう仕組みを最初に考えついた広告会社の人も、なかなか頭がいいものだ、と思います
入塾のお祝い金2,000円、というのは、この一部から回ってきます。広告会社にとっては、成功報酬の一部でしかありませんから、そんなにたいした金額ではありません。しかし、保護者の方にとっては お得な感じがするかもしれません。
広告で塾をさがす方は、塾なんてどこも同じだと思われているので、どうせどこかの塾に入るのなら、この“お祝い金”はうれしいはずです。
でも、ちょっと考えるとわかると思いますが、塾が宣伝費にお金をかけると、それを回収するために、何を削ることになるか。
一見、得した気持ちになったとしても、質の劣るサービスが提供されることは明らかです。言うまでもなく、塾の商品といえば〝先生〟ですし、塾のサービスは、 “授業” ということですが、広告費がかかっている分、質の劣る授業に対して、割高な授業料が設定されています。
質の高い先生の、質の高い授業。
これは目には見えないもので、その塾に実際に通ってみないとわからないものです。
こういうのは、 “朝三暮四” のたぐいの商法です。
保護者の方が資料請求のクリックをしたからといって、かならずどこかの塾に入るとはかぎりません。保護者の方が最終的に一軒を選ぶまでに、慎重に考えます。塾にとっては、一人入ってもらうのに、かなりの広告費がかかっています。
塾の人気度ランキング。
あれは、資料請求のクリック数が多い順…、ということで、けっして評価の良い塾のランキングということではありません。
いわば、広告会社に支払われている 広告費の多い順、ということですので、
どうか勘違いされないようにと、思います。
ちなみに、私たちの塾では、こういう広告に参加していません。
そんな広告合戦は不毛です。
塾の良し悪しは、結局は質の高い授業を提供することです。
長い間には、その良さがわかってもらえる賢い保護者の方に選んでいただければよいと思っています。
上智スクール(葛飾柴又) 個別指導風景
